映画「ひめゆり」、キネマ旬報ベスト・テン 文化映画で第1位に

kayosawaguchi2008-02-06

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【PJ 2008年02月06日】− 2007年第81回「キネマ旬報ベスト・テン」表彰式が5日、東京・有楽町朝日ホールで開かれた。1924年大正13年に創設され、アカデミー賞よりも1年長い歴史を持つ。映画評論家や映画記者をはじめとする選考委員により選びだされ、毎年の社会のありさまを反映する最も中立的で信頼たる映画賞という評価を得ている。

 派手なイメージのある映画賞で、わたしは普段注目されない文化映画作品賞受賞作について紹介したい。2007年文化映画作品賞は「ひめゆり」が受賞した。文化映画を総括している渡部実氏が述べているように、日本社会の複雑さを自(おの)ずと象徴した作品が多い中、受賞した長編ドキュメンタリー映画ひめゆり」とはどのような映画か。 

 柴田昌平監督は、「ドキュメンタリーを撮るわれわれは企画書もなしに撮りたいと思い、とにかく撮り始める。言葉をきちっと受け止めたい、記録したいという思いで、13年前から時間をみつけて沖縄に通って記録をしてきた。今でも記録を続けていますが、ひとつの形にまとめたのが『ひめゆり』です。多くの方に見ていただきたいなあと思っています。10年、20年、30年といつまでも上映していきたいと思っています」と受賞のあいさつをした。

 63年前に終結した第二次世界大戦の末期。戦場となった沖縄本島南部で看護活動の末、その多くが亡くなったのが「ひめゆり学徒隊」だ。生存者22名の一人一人が持つ記憶が語られてゆく映画が「ひめゆり」である。当時15歳から19歳だった女学生たちも今は80歳前後となった。その記憶を残し、観(み)る機会をつくることがどれだけ大切な事であるか、2007年多くの人が感じた。

 歴史を忘れさせる力に対峙(たいじ)し、生き続ける映画である。

 「ひめゆり」は全国の映画館で上映を続けている。東京・渋谷UPLINKで2月16日から、新潟・市民映画館シネ・ウインドで3月22日から、それぞれ公開される。そして多くの人々によって自主的に上映活動が展開されている。

 いつか私が孫を持つこととなったら、「一緒に観よう」と誘いたい。【了】

■関連情報
長編ドキュメンタリー映画ひめゆり」 柴田昌平監督 
製作 プロダクション・エイシア 
共同製作 財団法人沖縄県女師・一高女ひめゆり同窓会
http://himeyuri.info