青森県六ヶ所再処理工場のガラス固化問題って何？

kayosawaguchi2008-02-13

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【PJ　2008年02月13日】− 青森県六ヶ所村に建設され、現在試験稼働中の六ヶ所再処理工場について、ＰＪニュースでも取り上げられてきたが、現在どのような状況であるかお伝えしたい。再処理工場は原子力発電所で使用された核燃料 ( = 使用済み核燃料年間800トン )を化学処理して再度利用可能な燃料を取り出す工場。取り出されるものはウランとプルトニウム(年間8トン)である。

　再処理工場は現在第４段階の試験稼働中であり、ガラス固化の作業の試験が行われている。ガラス固化とは使用済み核燃料を硝酸で溶かし、プルトニウムとウランを取り出して残った高レベルの放射性廃液をガラス材と混ぜて固体にすることである。出来上がったものをガラス固化体(＝高レベル放射性廃棄物)と呼ぶ。ガラス固化体の放射能レベルはとてつもなく高く、何万年もの間厳重に管理しつづけなければならない。

　再処理工場の事業者である日本原燃株式会社は第４段階の試験稼働中に２つのライン(系統)でガラス固化の試験作業を行う計画を経済産業省原子力安全・保安院に届け出し承認されていた。しかし、AとBの２つの固化作業をするラインのうち昨年末にAラインの溶融炉でのトラブルが発生しガラス固化体の製造ができなくなった。現在、Bのラインも試験を実施していない。この状態ではガラス固化が進まず高レベルの放射性廃液が超危険な液体状態のまま溜まる恐れがある。廃液は電気を使って常に冷却・撹拌(かくはん)が必要であり、冷却されない状態になると半日で放射性廃液が沸騰してしまい最悪は爆発する危険性がある。注１　

　日本原燃株式会社はガラス固化の試験がうまくいかなかったにも関わらず、２月４日、経済産業省原子力安全・保安院に「アクティブ試験計画書で計画した第４ステップの試験項目については全て終了」という報告書を提出した。注２

日本原燃株式会社　プレスリリース「再処理施設アクティブ試験（使用済燃料による総合試験第4ステップにおける高レベル廃液ガラス固化設備の試験状況報告について」

　この報告に対し、多くの市民、国会議員、市民団体が不安の声をあげている。２月７日に六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を憂慮する全国の市民から経済産業省原子力安全・保安院長薦田康久氏に対し、六ヶ所再処理工場アクティブ試験ガラス固化試験に関する緊急要望書が提出された。

要望の内容は以下の２点である。

　1.　六ヶ所再処理工場アクティブ試験ガラス固化の性能確認について,A・B両系統での性能確認が実施されない状況で,日本原燃が,第4ステップは終了としていることを認めないこと。第5ステップに進むことを許さないこと。
2. 日本原燃に情報開示を促すこと。核燃料サイクル安全小委員会再処理WGの審議,資料を公開とすること。要望書はグリーンピースのHP （http://www.greenpeace.or.jp/campaign/enerevo/news/20080208_html）からダウンロードすることができる。

　六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を憂慮する全国の市民の代表として要望書を提出した美浜の会の小山氏は「公開された情報から長期地下貯蔵に耐えられない不良品のガラス固化体が作られている疑念があり、ガラス固化工程でのトラブルがあれば超危険な液体状態で高レベル廃棄物が溜まることとなる」と危険性を訴える。

　さて、報告を受けた国はどのような対応を取るのだろうか？経済産業省原子力安全・保安院は８日に核燃料サイクル安全小委員会第３１回再処理ワーキンググループ(非公開)が開かれた。2月14日には第１４回核燃料サイクル安全小委員会(傍聴可能)を開き審議をする。

　私たち日本国民は再処理工場を利用し、地球環境に負担をかけながらエネルギーを得ることを選択すべきか？【了】