アラブのドキュメンタリーは今 「アラブ映画祭2008」

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【PJ 2008年03月20日】− 国際交流基金が主催するアラブ映画祭が東京・赤坂で開催されている。アラブ映画祭は2001年のアメリカ同時多発テロ事件、そしてイラク戦争を契機に、アラブ地域社会を理解することが急務であるということで、2005年から毎年春に開催されることとなった。4年目を迎えた今年はドキュメンタリー作品の上映も行われた。

 「私たちと変わらないじゃないかという思いを持っていただけるような映画。まず同じ人間だということ、それから宗教や文化の違いの両面が分かってくるのがアラブ映画」と、プログラム・ディレクターの石坂健治氏は表現している。

 18日はシンポジウム「アラブのドキュメンタリーをめぐって」が開かれた。ヨルダンのパレスチナ難民キャンプに住む21歳のボクサーの姿を追うドキュメンタリー作品『満月』の監督、サンドラ・マーディーさん(ヨルダン) は、どのように撮影対象に出会ったのかという質問に対し、最初にヨルダンのパレスチナ難民キャンプに住む人の成功物語を見つけてドキュメンタリーを作りたいと考え、リサーチした中から出会った。パレスチナを紛争を通して撮るのではなく、一人の人間の人生を撮る事によって伝えたかったと答えた。

 チュニジアのスーサという小さな町でVHSというフォーマットを使って映画を撮るフルーシャさんを追ったドキュメンタリー『VHSカフルーシャ〜アラブのターザンを探して』は、人々に喜びと笑いを振りまく映画撮影の現場が描かれている。監督ナジーブ・ベルカーディーさん(チュニジア)はこの映画を通して、スーサの人々とそのコミュニティーを伝えたかったと答えた。

 今、アラブでは放送チャンネルが増え、多くのドキュメンタリーが撮影されているという。アラブのドキュメンタリーから伝わって来るものは確実に日本のニュースから伝えられるものとは違う。アラブ映画祭、とても貴重な機会である。上映は25日まで続くので、ぜひこの機会に観て欲しい。【了】

■関連情報
アラブ映画祭2008
2008年3月17日(月)〜19日(水) / 草月ホール
2008年3月23日(日)〜25日(火) / OAGホール
上映日程の詳細はこちら
アラブ映画祭 @ Groovin' High TV
Arab Festival 2008