映画『パレスチナ 1948・NAKBA(ナクバ) 』が渋谷で公開

【PJ 2008年03月23日】− フォトジャーナリスト・広河隆一氏が40年間にわたり取材を続け、自ら撮影した映像と写真を用いてドキュメンタリー映画パレスチナ 1948・NAKBA(ナクバ)』を完成させた。22日、渋谷ユーロスペースで公開され、プロデューサーの安岡卓治さん、監督の広河隆一さん、製作の森沢典子さんが舞台挨拶をした。

 映画の制作は2002年に森沢典子さんが呼びかけた全国の『1コマ』サポーターによって支えられた。その数は650名を越える。森沢さんは「懐かしいサポーターと会う事ができて嬉(うれ)しい」とあいさつした。森沢さんは1997年に広河氏の写真展を見た事がきっかけでパレスチナに関心を持つようになり、2002年3月に単身でイスラエルパレスチナを訪れた。知る事の大切さを痛感したという。自分たちで「知る権利」を守る事の一つの試みとして取り組み始めたのが『1コマ』サポーターの立ち上げだった。

 安岡氏は「一人一人の人生が詰まっている証言を編集するのとてもつらかった」と言う。劇場版『NAKBA』のために広河氏が選んだ454時間の中から131分に取り込めたのは200分の1以下だったからだ。編集の過程で躊躇(とまどい)が襲ってきたという。登場する証言者は人物はわずか27名で、広河氏が撮影した映像のごく一部に過ぎない。

 広河氏は次のようにあいさつした。「現場に立って記録し続けるフォト・ジューナリストで良かったと思う。すべてを記録する事はできないが、人間は都合の悪い記録を消そうとする。しかし、忘れてはいけない事をしっかりと記録しておけば、問題の原点が見つめる事ができます」「2週間前にレバノンで上映会をしました。登場人物の一人が映画を観て、私たちの村を見つけてくれてありがとう、と言ってくれました」

 広河氏が記録した270あまりの「消えた村」の数千時間にのぼる映像はまだ公開を待っている。劇場版『NAKBA』は始まりに過ぎず、広河氏が撮りためた数万枚の写真と、千時間を越える映像のほんの一部である。残し伝えなければならない一人一人の『NAKBA』が未(いま)だ多く、広河隆一氏に委ねられている。【了】

■関連情報 
パレスチナ 1948・NAKBA(ナクバ)』予告編 http://jp.youtube.com/watch?v=6pX9G542SMk
4月2日(水)18:20の回上映終了後、「NAKBAシンポジウム」ゲスト:広河隆一
詳細は公式サイトで発表されます。3月22日(土)よりユーロスペースにてロードショーほか全国順次公開
大阪 シネ・ヌーヴォ 4月19日〜

パレスチナ 1948・NAKBA(ナクバ)』http://nakba.jp/
2008/日本/131分/スタンダード/ドキュメンタリー  
製作・著作:広河隆一パレスチナ記録映画作成委員会(広河隆一事務所、『1コマ』サポーターズ)
監督・撮影・写真:広河隆一
製作 森沢典子(『1コマ』サポーターズ http://www2.odn.ne.jp/midi/)
プロデューサー・構成・編集:安岡卓治

2008年03月23日11時22分
掲載ページ http://news.livedoor.com/article/detail/3565302/